先日、夕方に家へ帰ってきたら、駅のそばで下校中の高校生と鉢合わせした。
声をかけてきたその子は、僕が小学校の担任をしていたときの教え子。
今まで何度か会ったことはあるんだけど、会うたびにどんどん大人になっていく。もう高校生か、成長って早いなぁと思いながら、しばらく立ち話をしていた。
嬉しいことに、その子が急に褒めてくれた。すごいっすねって。絵本のクラウドファンディングのこととか、目標達成してることとか、なんかいろいろ活躍してますねって。教え子に褒められて、なんだか気恥ずかしくて「いやいや、好きなことやってるだけ」と返したけど、その後に出てきた言葉の方がずっと嬉しかった。
「実は、保育園の先生になりたいんです」
ちょっとびっくりしたけど、意外というほどでもなかった。
以前から年の離れた弟をまるでお父さんのように世話していたその子。小学生の頃からツンツンしてるけど優しくて、面倒見がいいなという印象があった。
ただやはり、本人の口から子どもに関わる仕事がしたいという言葉を聞けたのは嬉しかった。
その後、彼は続けて言った。
「先生を見て、こんな子どもとの関わり方があるんだって初めて知りました。すごくいい勉強になります」って。
その言葉を聞いたとき、僕は自身のことを思い出した。
教員をしながら、このままでいいんだろうかって迷っていたあの頃。休みの日にボランティアで子ども食堂に行ったりしながら、学校の外にも子どもと関われる場所があるんだと少しずつ気づいていった。
教員っていう世界にいると、そこがすべてになってしまうから、なかなかそれが見えなかった。
でもおにぎり屋を始めてみて、それが実感になった。
その気づきと同じものを、地元の後輩が自分を見ながら感じてくれていた。学校の外にも子どもと関われる場所がある、関わり方があるということを。それが、本当に嬉しかった。
話し終わった後、なんかほかほかした気持ちになった。
徳島新聞に掲載

5/23(土)、徳島新聞の朝刊に記事が掲載されたようで、何人かの知人から「読んだよ」「見たよ」と連絡をもらった。取材を受けたのは4月の初め頃、いつもやっている児童館でのおにぎり教室の様子を取り上げてもらったもの。
参加した児童のなかにインタビューを受けた子がいて、その子本人はもちろん、保護者の方やおじいちゃんおばあちゃんまで、記事が載るのをずっと楽しみにしてくれていたみたい。ようやく形になって、喜んでくれてるといいなと思う。こうして活動を記事にしていただけるのは、本当にありがたい。
おかげさまで、おにぎり教室は今年も児童館だけでなく、初めてお伺いする小学校からも授業の依頼をいただいて、来月再来月に向けて準備を進めているところ。絵本の方もほぼ完成していて、製本が上がってくれば7月頃には現物としてお届けできるかもしれない。
クラウドファンディングで支援してくださった方、もう少しだけお待ちください😊
活動をしながら抱えている葛藤
ただ、正直に言うと、こうして活動を続けながらも、「これって、自己満足じゃないのかな」という問いがいつも頭の片隅にある。
児童館に行って、小学校に行って、みんなでおにぎりを握って「おいしいね」「楽しいね」ってやってる。それはそれで楽しいし、僕自身も好きでやっている。でも、それが子どもたちの食の未来にどうつながっているのか、具体的に何かアプローチできているのか、ちゃんと考えると正直わからなくなる。
教育の成果って、すぐに答えが出るものじゃない。その子が大人になって、30年後とかにやっと見えてくるものだと思う。だから今やっていることが本当に意味があるのか、自信を持ってイエスって言えないところが、実はある。教員をしていた頃からずっとそうだったけど、答えがすぐ出ないから、どうしても「自分がやりたいことを押し付けてる」みたいな感覚になってしまうことがある 😂
良くも悪くも自己満足。そういう側面があるのは正直否定できない。
まぁ、好きでやってるっていうのは、続けるための大事なエネルギーでもあるので、いまの状態が特別悪いとも思っていない。
あるお母さんとの会話
そんなことをぼんやり思っていたら、先日イベントで久しぶりに会ったアクセサリー作家さんが、ふと話してくれた。
小学5年生くらいのお子さんが、学校の調理実習でお味噌汁を作ったらしい。シンプルな授業だったみたいなんだけど、帰ってきてからしばらく「俺、お味噌汁作れるんやで」って言いながら、家でも作ってくれるようになったと。その話を聞きながら、あ、と思った。
似た話を、僕も何度か聞いたことがある。おにぎり教室のあと、「我が家はその後しばらくおにぎりパーティーが続きました」とか「うちの子が上手に握れるんよって言って作ってくれました」とか。保護者の方からそういう声をもらったことが、今まで何度かあった。
その作家さんのお子さんも、学校で学んだことを家に持ち帰って、自分でチャレンジしてみる。そのきっかけになっていた。直接自分が関わった子ではないけど、それを聞いてなんか安心に近い気持ちになれた。
全員じゃない。でも、数人は何か持って帰ってくれてる。「自分でもやってみる」「自分でもできるんだ」っていう、小さな自信のきっかけになってるのかもしれない。
それで十分なのかもしれない、とも思うし、いやもっとできることがあるかなとも思う。答えは出ないけど、それでもやっぱり、今自分がやってることもちょっとは意味あるのかなって気持ちになれた 😇
うまくいかないことも、もちろんある。相手は子供だし、人間だし、思い通りにいかないことだらけ。それでもやっぱり、人と人との関わりっていうのは、僕がいちばん好きなところ。
秋にはオーストラリアへ旅立つ予定です。それまでの時間はけっこうタイトだけど、できることを精一杯やってから、またしばらく日本を離れようと思っています。おにぎりも、絵本も、食育も、地道にコツコツ続けていきます🙂
活動の様子はInstagramなどで発信しているので、ふらっと覗きに来てもらえたら嬉しいです。
Instagram: @murata_onigiri

