おにぎりと一緒に自分の思いも腐っていく感覚

こんにちは、村田おにぎりです!

おにぎり屋を営んでいると、日々「おいしい」という言葉に励まされます。
祖父母の代から続く米穀店の知恵を借り、地元の農家さんが丹精込めて育てたお米を、一つひとつ手で握る。そこには「手作りの温かみを届けたい」という僕なりの決意があります。

でも今日書きたいのは、そんな光の当たるところではなく、商売の裏側にある「なまもの」を扱う者としての苦悩についてです。

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目次

農家さんがどんな思いで育ててるのか知りたい

おにぎり屋を始めてまもない頃、お米を扱う者として農家さんがどのように育てられてるのか知りたいと思い、まずは徳島県内の農家さんを訪れました。

元々、村田商店のお客さんだった方や、開業するにあたって知り合った農家さんなど、初めましての人が多かったですが、ひとまず連絡をしてお手伝いをさせてもらうことに。たね植えや草刈りを体験させてもらったり、田んぼツアーをさせてもらったり、皆さんとても親切に迎えてくれました。

お話を聞けば聞くほど、皆さんそれぞれの思いを持ちながら農業に取り組んでいることが分かりました。

お手伝いをした感想は大変というよりも楽しさが大きかったです。
たった1日お手伝いをしただけで、農作業は大変だなんて言ってたら農家さんに怒られてしまいます😇

そうだ、おにぎりが食べたい。

またまた思いたった放浪癖ありの僕は、軽トラに乗って、新潟までおにぎりを食べにいくことにしました。
2022年秋の話です。

「どうせおにぎり屋をするんだから、日本一の米所と言われている新潟のお米を現地で食べておかないと」という謎の使命感を勝手に背負い込み、ふらふら旅をすることにしました。

ただ新潟に行くだけでは味気ないので、下道でのんびり。途中で出会った農家さんたちのお話も聞きたいなと思いながら。

結果的に、何人かの農家さんと繋がることができ、畑にお邪魔させてもらうことになったのです。(本当にありがたや)

どの農家さんだって、思いがいっぱい

当時の僕は、無農薬こそ正義!農薬なんて悪だ!という考えでいました。
健康面に対する意識が高まり、そのような思考でいたのです。

旅をするなかで、無農薬の自然栽培に取り組んでいる人、慣行農業で農薬を使用して農業をされている人、どちらの人にも話を聞くことができました。

農家さんとの会話を通して感じたのは、どの農家さんも消費者のことを思って、大切に一生懸命作物を育てているということでした。

そこには正義も悪も存在しない、ただ自分の信念をもって農業を続けている人の姿があったのです。

僕はそんな農家さんの力になりたいと思うようになりました。

🔻その時に感じたこと🔻

「なまもの」であることの誇りと、その残酷さ

僕のおにぎりは、保存料を一切使わない「なまもの」です。

「私たちの身体は、食べたものでできている」

その信念があるからこそ、未来の子どもたちに本当の意味でおいしいものを残したいと思っています。
でも「なまもの」である以上、必ず賞味期限という終わりがあります。

届かなかった思いが、一緒に腐っていく感覚

マルシェの終わり際、手元に残ったおにぎりを見つめていると、胸が締め付けられます。

それは単に「売れ残った」という事実以上の、もっと重苦しいものです。

雑草や虫と戦いながら、土を守り、汗を流してお米を届けてくれる農家さん。その思いを預かって、僕は一つひとつ握っています。
でも売れ残ったおにぎりの前では、農家さんの思いも、僕が込めた気持ちも誰にも届けられないまま、一緒に腐っていく。そんな風に感じるときもあります。

やはりそれは悔しくて、苦しいものです。

余ったおにぎりはどうしても廃棄することができず、友達にあげたり、学童保育に持って行って食べてもらったりしました。

絵本は腐らない

そしていま絵本を作ってて感じることがあります。

それが、絵本は腐らないという当たり前の事実。

しかし僕にとってそれはとても幸せで有難いものなのです。

想いを言葉と絵にしたものは、腐らない。
いつまでも形として残り、届けることができます。

私たちは腐らない本によって不変の知識や生き方を先人たちから教えてもらうことができます。

自分が普段たくさんの本から学びを得てるように、この絵本で笑顔になれるこどもたちが一人でも増えると、嬉しいなと思っています。

  • 「みんなで作って、一緒に食べる」喜び
  • 農作物を育ててくれた生産者さんへの尊敬と感謝
  • 僕がおにぎりに込めてきた思い

おにぎりは今日しか届けられない。でも絵本なら、10年後の子どもにも、20年後の食卓にも、届けることができるのではないかと淡い期待を寄せています。

マルシェで売れ残るたびに感じていた「腐っていく感覚」が、絵本を作ろうと決めた日から、少しずつ違うものに変わっていきました。

おにぎり絵本『ごちそう』に込めたもの

物語の主人公『グゥ』は、豪華なごちそうを夢見るこねこです。
でも仲間たちとワイワイおにぎりを作って食べるうちに、「みんなで作って食べるおにぎりこそが、最高のごちそうだ」と気づいていきます。

「おにぎり」には、型に縛られない自由さ、それぞれの個性を大切にしてほしいという裏メッセージも潜んでいます。
登場する動物たちも、それぞれの強みを活かして一つのおにぎりを完成させていくのです。

この絵本を読み終えたあと、親子で「今日のごはん、おいしかったね」「一緒に作ろうか」そんな何気ない会話が生まれてほしい、それが私たちの願いです。

絵本は完成に向け、着々と進行しています。
思いが一冊の形となり、皆さんのもとへ届けられる日を楽しみにしています🍙

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村田おにぎり
おにぎり屋店主
Murata Onigiri Stand.
ふらふらと居場所の定まらない生き方をしています。
食べること・書くこと・楽しいこと大好き

元小学校教員
おにぎりを通して”食べる楽しさ”を共有していきたい

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