近年、健康志向の高まりとともに「玄米」の人気が再燃しています。白米に比べて栄養価が高く、多くの健康効果が期待される玄米。この記事では、玄米がもたらす驚くべき4つの健康効果に焦点を当て、そのメリットを詳しく解説します。玄米を日々の食事に取り入れることで、健康維持や改善にどのように役立つのかを見ていきましょう。
豊富な食物繊維
まずはじめに玄米に含まれる豊富な食物繊維について解説します。玄米の食物繊維量、食物繊維のはたらき、玄米と腸内環境の面からご紹介します。
玄米の食物繊維量
玄米の食物繊維量は、100g中3mgです。これは私たちが普段食べている白米の約6倍の食物繊維量です。このように、玄米には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は、腸内環境を整えるために不可欠な栄養素であり、特に便秘に悩んでいる方は玄米を食事に取り入れることで腸の動きを活発にし、便通を改善する効果が期待できます。
食物繊維の働き
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、玄米にはこの両方がバランスよく含まれています。水溶性食物繊維は腸内でゲル状になり、便を柔らかくする働きをします。不溶性食物繊維は腸を刺激して蠕動運動を促進し、便の排出を助けます。これにより、便秘の予防や改善が図れるのです。
また、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあるため、肥満・糖尿病・高血圧など生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。
玄米と腸内環境
また、玄米と腸内環境には密接な関係があります。腸の中には約100兆個の腸内細菌(腸内フローラ)が生きています。そのなかでも、人にとって有益な善玉菌と有益でない悪玉菌、どちらでもない中間菌に分かれていて、3グループでバランスをとりながら腸内環境を作っているのです。
そして、玄米に含まれる食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内フローラを整える役割を果たします。これにより、免疫力の向上や病気の予防にも繋がります。玄米を日常的に摂取することで、腸内環境が整い、健康に暮らしていくための素地が養われますよ。
ビタミン・ミネラルの宝庫
玄米に含まれる豊富な食物繊維について押さえたところで、次に、玄米がビタミン・ミネラルの宝庫であるということについて触れてみます。玄米の栄養素、ビタミンB群の効果、ミネラルの効果についてご紹介します。
玄米の栄養素
玄米の栄養素は食物繊維だけではありません。ビタミンB群、ビタミンE、マグネシウム、鉄分など、多くのビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。これらの栄養素は、エネルギー代謝を助け、疲労回復や肌の健康維持に大きく寄与します。
これらの栄養素は米の糠層や胚芽に含まれています。そのため、糠層や胚芽を取り除いている白米よりも、玄米のほうがより栄養素が高くなっているので、健康を気にする人から注目を浴びています。
ビタミンB群の効果
次にビタミンB群の効果についてご紹介します。ビタミンB群は、身体の代謝を助け、体調を整える働きがあります。例えば、お菓子やパン、麺類などで炭水化物を摂取したとしても、ビタミンB群を補給しなければ、エネルギー化は進みません。不足した状態が続くと、疲れやすくなるだけでなく、便秘や消化不良、神経過敏や肌荒れなどの症状が出やすくなります。
また、ビタミンB群は代謝以外の面でも重要な役割を担っています。玄米に含まれているのは、神経の機能を正常に保つビタミンB1、赤血球の形成や抗体の生産などに必要となるビタミンB2、神経伝達物質の合成を助けるビタミンB6など。これらはすべて水溶性で、体にためておくことができないため、毎日摂取する必要があるのです。
ミネラルの効果
さらに、玄米にはマグネシウムや鉄分も含まれています。これらは、まとめてミネラルと呼ばれ、健康維持に重要な役割を果たしているのです。
例えばマグネシウムは、歯や骨格に50~60%、残りは軟組織や髄液、その他血球や筋肉の細胞内に分布している栄養素で、歯や骨をつくったり、タンパク質の合成をしたりしています。マグネシウムが欠乏すると、動悸、不整脈、筋肉の痙攣、情緒不安定(イライラ)などの症状が現れます。
また鉄分は、酸素を全身に運ぶヘモグロビンに多く含まれていて、血液中の酸素を全身へ運ぶために重要な役割を果たしています。そのため鉄が欠乏すると、皮膚蒼白、動悸、目まいなどの症状が現れます。
血糖値の急上昇を防ぐ
また、玄米がビタミン・ミネラルの宝庫であることを押さえたうえで、玄米が血糖値の急上昇を防ぐ点について解説します。玄米のGI値、血糖値コントロールの重要性、食事と玄米の組み合わせの観点からみてみましょう。
玄米のGI値
まずはじめにGI値(グリセミック指数)は、食後の血糖値の上昇を示す指標です。血糖値を急激に上げる食品はGI値が高く、ゆるやかに上げる食品はGI値が低くなります。そして、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富な玄米は、低GIの主食であり、食物繊維を多く含むため、腹持ちがよく、白米より少ない量でも満腹感を得ることができます。
さらに、週に数回3食のうち1食分を低GI食品中心の食事にしただけで、特に運動などをしなくても体脂肪率の減少が見られたという研究結果も出ています。このように、効果がある程度継続するのも低GI食品の魅力です。
血糖値コントロールの重要性
玄米を摂取することで、血糖値のコントロールができます。血糖値の急上昇は、インスリンの過剰分泌を招き、肥満や糖尿病のリスクを高めます。糖尿病はひとたび発症すると治癒することはなく、放置すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症のリスクや、脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症・進展を促進する可能性があります。
しかし、玄米を食べることで、血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンの分泌が安定します。これによって、長期的な健康維持が期待できるのです。
食事と玄米の組み合わせ
また、玄米を食事に取り入れる際には、他の食材と組み合わせると良いでしょう。例えば、良質なタンパク質と組み合わせるのがおすすめです。玄米にはお茶碗一杯約5gのタンパク質が含まれていますが、一日の推奨量としては、女性は50g、男性で65gが必要とされているため、玄米だけではタンパク質は補えません。そのため肉類、魚介類、卵、牛乳、大豆などの食品と組み合わせて食べましょう。
一方で、緑黄色野菜と組み合わせて食べるのも推奨されています。玄米にはビタミンも含まれていますが、やはり十分とは言えません。そこで、トマトやかぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜と一緒に摂取するよう心がけましょう。栄養バランスを考えた食事を心がけることで、健康効果を最大限に引き出すことができます。
抗酸化作用で細胞の老化を防ぐ
最後に、玄米の抗酸化作用で細胞の老化を防ぐことができる点について解説します。玄米の抗酸化成分、抗酸化作用のメカニズム、がん予防や心血管疾患のリスクの低減などについて確認しましょう。
玄米の抗酸化成分
玄米には、抗酸化成分であるフェノールとフラボノイドが含まれています。これらの物質は、生活習慣病やがんを防いだり、老化を遅らせたりする効果があると考えられています。また、玄米に含まれているビタミンB2・パントテン酸は、皮膚を丈夫に保つ効果があるといわれています。
抗酸化作用のメカニズム
抗酸化成分は、体内で発生する活性酸素を中和し、細胞のダメージを防ぐ働きをします。そして、活性酸素は、酸化ストレスを引き起こし、老化や病気の原因となるため、抗酸化作用のある食品を摂取することが重要です。つまり、玄米を食べることで、体内の抗酸化力が高まり、細胞の健康を保つことができます。
がん予防や心血管疾患リスクの低減
さらに、玄米に含まれる抗酸化成分は、がんの予防や心血管疾患のリスクを低減する効果も期待されています。例えば、フィチン酸は細胞の異常増殖を抑制し、フェルラ酸は血圧の調整や動脈硬化の予防に寄与します。これらの健康効果により、玄米を食べることが長寿や健康維持に繋がるのです。
まとめ
玄米は、豊富な栄養素と多くの健康効果を持つ優れた食材です。玄米を摂取することで、ここまで挙げたような食物繊維による効果、ビタミン・ミネラルの補給、血糖値のコントロール、抗酸化作用による細胞の老化防止といった4つのメリットがあります。玄米を日々の食事に取り入れることで、生活習慣病を予防しながら健康的な生活を送れるようになるでしょう。
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